情緒を耕す

―――細水統括のおっしゃるとおりだった。彼らは、一度も耕されたことのない荒地だった。ほんのちょっと鍬を入れ、水をやるだけで、こんなにも伸びるのだ。たくさんのつぼみをつけ、ときに花を咲かせ、実までならせることもある。他者を思いやる心まで育つのだ。彼らの伸びしろは驚異的だ。

「空が青いから白をえらんだのです」寮美千子・編

少年刑務所の受刑者が書いた詩集を読みました。「社会性涵養プログラム」と名付けられた更生教育のなかで書かれた詩の一部です。

「家庭では育児放棄され、まわりにお手本になる大人もなく、学校では落ちこぼれの問題児で先生からまともに相手にしてもらえず、かといって福祉の網の目にはかからなかった。そんな、いちばん光の当たりにくいところにいた子が多いんです。ですから、情緒が耕されていない。荒れ地のままです。自分自身でも、自分の感情がわからなかったりする。でも、感情がないわけではない。感情は抑圧され、溜まりに溜まり、ある日何かのきっかけで爆発する。そんなことで、結果的に不幸な犯罪となってしまったというケースもいくつもあります。先生には、童話や詩を通じて、あの子たちの情緒を耕していただきたい」

気持ちを安心して表現することができる守られた場があることは、人間らしく生きていくために重要なのだということを、深く感じた一冊でした。

私は我が子に対して、守られた場として存在できているのだろうか・・・厳しい目で我が身を振り返る必要がありそうです。

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