アーカイブ | 3月 2019

情緒を耕す

―――細水統括のおっしゃるとおりだった。彼らは、一度も耕されたことのない荒地だった。ほんのちょっと鍬を入れ、水をやるだけで、こんなにも伸びるのだ。たくさんのつぼみをつけ、ときに花を咲かせ、実までならせることもある。他者を思いやる心まで育つのだ。彼らの伸びしろは驚異的だ。

「空が青いから白をえらんだのです」寮美千子・編

少年刑務所の受刑者が書いた詩集を読みました。「社会性涵養プログラム」と名付けられた更生教育のなかで書かれた詩の一部です。

「家庭では育児放棄され、まわりにお手本になる大人もなく、学校では落ちこぼれの問題児で先生からまともに相手にしてもらえず、かといって福祉の網の目にはかからなかった。そんな、いちばん光の当たりにくいところにいた子が多いんです。ですから、情緒が耕されていない。荒れ地のままです。自分自身でも、自分の感情がわからなかったりする。でも、感情がないわけではない。感情は抑圧され、溜まりに溜まり、ある日何かのきっかけで爆発する。そんなことで、結果的に不幸な犯罪となってしまったというケースもいくつもあります。先生には、童話や詩を通じて、あの子たちの情緒を耕していただきたい」

気持ちを安心して表現することができる守られた場があることは、人間らしく生きていくために重要なのだということを、深く感じた一冊でした。

私は我が子に対して、守られた場として存在できているのだろうか・・・厳しい目で我が身を振り返る必要がありそうです。

知識と知恵

ビジネスの世界で「知識ではなく知恵を」という言葉を耳にしたなど、思うところがいくつかあったので、改めて言葉の意味を家にある「くもんの学習小学国語辞典第四版」で調べてみました。太字は投稿者A子です。

「知識」 ものごとに関する考え方や理解
「知恵」 考えたり記憶したりする頭のはたらき

こうしてみると、生きていくうえで知識よりも知恵が重要だということは分かりますが、より知恵を働かせるためには知識は多いほうが良いでしょう。そして、知識を得るために役に立つのが「学問」です。

「学問」1、学び習うこと。また、学んで身につけた知識
    2、すじ道を立ててまとめられた知識。文学・数学・医学など。

「すじ道を立ててまとめられている」とは、言い換えれば知性と労力の集大成であり、ものすごいことだと思うんですよね。まとめてくれてありがとう!さて、この素晴らしい学問や知識を得ることにより身につくであろうもののひとつが「教養」です。

「教養」 学問や知識などによって養われる、ゆたかな心や、ものの考え方。

「知」において知恵は教養を含むものと考えますが、単に学問や知識などを得るだけでは教養ある人にはなれないところが、悩ましくも美しいところです。豊かな心の持ち主が悪知恵を働かせることは先ずないと思いますし。

「素養」 ふだんから身につけている技術や学問。

教養と似ていて異なる「素養」という言葉。学問や「技術」が普段から身についている人が「素養ある人」ということになりますが、突然でてきた技術という言葉にはどういう意味があるのでしょうか。

「技術」1、学問を実際のくらしに役立てる方法
    2、ものをつくったり、おこなったりするわざ。

技術を使うためには知恵が必要となるでしょう。個人の体験ですが、真夏日に頂いた生魚をビニール袋に入れ数時間かけて持ち帰ったことがありました。その時にどこに氷を入れるかで小さな議論になったのですが、その人は「氷は上。冷気は下にいく」と即答。この文章を書きながら、知恵、素養という言葉からその人を思い出した私でした。